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何に効く? 広告変わる医薬品

■新聞・雑誌で臨床データを紹介
 「かぜの諸症状の緩和」といった具合に、効能・効果が漠然としていた一般用(OTC)医薬品、いわゆる大衆薬の広告が変わり始めた。エスエス製薬は18日、睡眠改善薬「ドリエル」の新聞、雑誌広告に7月下旬から、医師による臨床試験の結果を盛り込むと発表した。大正製薬や武田薬品工業も同様の広告を開始。消費者を引きつける広告で市場が拡大する特定保健用食品(トクホ)に対抗するとともに、「大衆薬市場低迷の歯止めに」と期待を込めている。
 ◆情報充実
 「睡眠改善効果82・1%という医師の評価が得られました」-。エスエスが新聞、雑誌で展開する広告の一文だ。軽度または中程度の睡眠障害で通院する15歳以上の173人にドリエルを投与した臨床データを紹介し、効能を強調している。
 大正は発毛剤「リアップ」に関する市販後の臨床データを用いた広告を6月から新聞、雑誌と自社ホームページ(HP)に掲載。全国53医療機関で実施した約300人の臨床試験で、平均70・0%から「良くなった」との評価を得たことを紹介した。
 武田も漢方製剤「ルビーナ」で冷え性やめまいなど更年期障害の症状に7~8割程度の改善がみられたとの結果を自社のHPに掲載した。
 各社は「提供する情報が充実する」(エスエス)などと、その効果を強調している。
 ◆トクホ対抗
 こんな広告戦略の狙いに関して、大手大衆薬の担当者は「食品業界など異業種がトクホは『血圧が心配な方に』などとアピールしているのに、大衆薬は何を言っているかわからず、もどかしい」と説明する。強調するのは、大衆薬の低迷と対照的に拡大するトクホへの対抗策の側面だ。
 トクホと違って、大衆薬が広告に臨床データを盛り込んではいけないという規定は薬事法にはない。ただ、業界団体である日本大衆薬工業協会が「誤解を与えるような広告は慎む」ため、自主規制してきた。しかし、トクホの攻勢への危機感にせかされ、今年4月に臨床データの使用を申し合わせた。
 ◆ブランド向上
 監督官庁の厚生労働省も、こうした動きを後押ししているもようだ。
 同協会の熊谷弘常務理事が「治療から予防へと医療を誘導したい国としても、大衆薬への期待は高まっている」と指摘し、申し合わせが厚労省との“あうんの呼吸”で決まったことを示唆する。医療費抑制を目指す厚労省には、軽度な症状なら、全額自己負担の大衆薬で対応するよう誘導したい狙いもある。
 ただ、テレビCMはラジオとともに対象外。「15秒のCMでは正確に伝えられない」(同協会)のが理由という。それでも、臨床データの表示によって「すでにHPへのアクセスが2倍になるなど反応は上々。ブランド価値の向上にもつながる」(大正)と評価は高く、各社とも市場低迷を脱却するきっかけにしたい考えだ。

>医薬品も商品があふれかえっていて、どれにすればよいか迷うこともよくありますから医師による臨床試験の結果がわかりやすく掲載されていれば明確な判断基準になり消費者には嬉しい情報です。