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あす内閣改造 続くいばらの道

あす内閣改造 安倍ハムレット 独自色か均衡か…身辺調査も慎重

 安倍晋三首相は25日夜、アジア歴訪を終えて帰国した。週明けの内閣改造と自民党役員人事に向、公邸にこもって最終的な検討に入る。参院選で歴史的大敗を喫しても続投を決意しただけに、人心一新は政権建て直しの重要な手段だが、その作業自体に多くの難題、条件がつきまとう。失った国民の強い支持や党内の求心力を回復するのは容易ではなく、いばらの道は続きそうだ。(今堀守通)
 ≪許されぬ二の舞≫
 「国民の期待に応えて仕事と成果を残し、信頼を得ることのできる内閣にしたい」
 首相が24日、外遊先のクアラルンプール市内で同行記者団に語った言葉には、閣僚らが不適切発言や事務所費問題で次々に辞任した失敗を繰り返したくないという思いがにじみ出ていた。
 昨年9月の内閣発足時、首相は総裁選で懸命に応援した議員らを次々に起用したことで、露骨な論功行賞人事と言われた。なかでも官邸の主要スタッフには、塩崎恭久官房長官や世耕弘成首相補佐官ら「気の置けないお友達」をそろえた。
 ところが、昨年12月に佐田玄一郎前行革担当相が事務所費問題で引責辞任したのをはじめ、自殺した松岡利勝元農水相を含め閣僚計4人が交代した。首相自身が問題閣僚をかばい、官邸スタッフも危機的状況での稚拙な対応が目立ったことで「少年官邸団」と揶揄(やゆ)もされた。
 政治資金規正法の改正問題もからみ、党内には政治資金の支出に「1円」でも間違いがあれば許されないような極端な風潮が広がる。新閣僚に政治とカネの問題が生じれば「内閣は即死」といった声も漏れるだけに、首相サイドの選考作業も、入閣候補の力量以外の面で時間をとられる。
 ≪打ち出すべきもの…≫
 首相は教育基本法改正に続き教育再生関連法、憲法改正手続きを定める国民投票法などを成立させ、「戦後レジーム(体制)からの脱却」への道を歩み始めていたが、参院選では評価につながらなかった。
 自民党から突きつけられた参院選総括の文書は、この路線が野党による生活重視キャンペーンに敗れたと位置づけている。安倍カラーを人事に反映させようとすれば、党内から反発を招く側面もある。

 小泉純一郎前首相の人事は安倍氏の幹事長起用など「サプライズ」を目玉としてきたが、一般的に内閣改造の“妙”は、(1)各派領袖が納得する人材を要所に置く(2)首相がもっとも信頼する人物を政策の「要」に配する(3)政策や調整に秀でた人材を織り交ぜる(4)若手や女性など新鮮さやクリーンさの演出は不可欠-などが挙げられる。
 求心力が低下したことを考えれば、党内から幅広く人材を集めることを迫られるが、人物よりもバランスを重視したと受け取られかねない。
 自民党重鎮の1人は、「内閣改造でどんなに配慮を尽くし、知恵を使っても、批判が出ることを覚悟しなければならない」と語る。
 それだけに、改造内閣の方向性をより鮮明にすることだけは欠かせないのだが、このところ首相自身の口からは「改革と経済成長の堅持」「地域の活性化」といった言葉は出ても、「戦後レジームからの脱却」が出てこない。

>さあ、どうなることか見ものですね。