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稲取温泉 自前で観光会社 女性事務局長の挑戦 格安で東京直行バス

静岡県東伊豆町の稲取温泉に地元有志が出資した観光会社が誕生した。地元ならではのパッケージツアーを計画中で、今月20日からは東京と稲取を結ぶ直行バスがスタートする。仕掛け人は、全国公募で観光協会事務局長に選ばれた渡辺法子さん(47)。「地元の人自身が地域の魅力を再発見して発信しないと地域は再生できない」と、地元主体の新たな試みに意気込む。

 新会社「稲取温泉観光合同会社」は地元の観光関係者約60人が出資し、昨年10月に設立した。資本金915万円。きっかけは昨年5月の旅行業法改正で、小規模資産で登録できる第3種旅行業でも、一定条件下でパッケージツアーを企画できるようになったことだ。

 「地域主体の旅行商品を提供できる可能性が広がった」と渡辺さん。現在、江戸時代から続く伝統の「雛(ひな)のつるし飾り」制作体験ツアーや、地元で山野草を楽しむ散策ツアーなど、地元を知る者ならではのツアーを企画中だ。

 「はとバス」とも提携。1月20日からは東京-稲取温泉を結ぶ直行バスが始まる。

 1日1本の運行で、行きは午前8時半に上野駅発、正午に稲取温泉着、帰りは午後2時に稲取温泉発、午後5時半に東京駅着の予定。大人片道3000円、往復5500円で、新幹線と伊豆急行を乗り継ぐ料金の半額に近い安さ。その分、宿泊して、ゆっくり過ごしてもらおうとしている。

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 住民の約75%が観光産業に従事している稲取地域。年々進む観光客減少に歯止めをかけるため、観光協会は2年前、「年収700万円・一戸建て住宅提供」という条件で事務局長を公募。昨年4月に就任したのがまちづくりNPOの事務局長を務めていた渡辺さんだった。

 「まちづくりの黒子役になろう」と、就任直後から自主的に「まちづくりボランティア」を募集。地元住民約60人を集め、町中に木のベンチを設置するなどボランティア作業を行うとともに、地域観光資源の発掘や調査、商品開発、マーケティングなど勉強会を重ねてきた。

 ボランティアに参加してきた西塚孝男さん(52)は「渡辺さんが来るまでは旅館やイベントに頼りきり。今は『みんなで何とかしよう』と発想の幅がふくらんだ」と話す。

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 話題の事務局長就任の効果もあってか、昨年5、6月の集客数は前年比約10%アップした。

 渡辺さんは現在、ツアー企画のほか、稲取と同じ「つるし飾り」の風習がある山形県酒田市、福岡県柳川市と協力し、稲取で2月に開催する「日本三大つるし飾りサミット」の準備に追われている。

 「まちづくりは人づくりから。そこに住み働いている人がノウハウを身につけ、熱意や達成感を持つことが大切です」と強調する。

>渡辺法子さんの新会社を立ち上げて、積極的に仕掛けていく姿は実際に温泉関係で働かれている方々の士気を高め、また利用してくださるお客様への満足向上に繋がりますよね。交通費が本来の半額というのは魅力的です!!